離婚の際、夫婦の「共有財産」である家やマンションは財産分与の対象です。
しかし、どのように分けるかが夫婦の話し合いで決まらなかった場合、離婚調停を経て、離婚裁判へと進むことになります。
離婚裁になると、共有財産としての家やマンションは、2分の1ずつに分与されるのが基本です。
こちらでは、裁判になったときの家やマンションの分け方、家を公平に分けてもらう方法などについて説明します。
- 離婚の際に、離婚裁判(訴訟)になるまでの流れについて
- 離婚裁判で家がどのように財産分与されるのかについて
- 家やマンションが、具体的にどのように分けられるのかについて
- この記事はこんな人におすすめ!
- 離婚で家やマンションをどう分けるかの話し合いがまとまらない人
- 離婚裁判になると、家やマンションの財産分与がどうなるのかを知りたい人
- 住宅ローンがあると、どのように家やマンションを分けることになるのか知りたい人
もくじ
1.離婚裁判(訴訟)までの流れ
離婚裁判(訴訟)は、離婚の話し合いがまとまらなかった場合の最終手段です。
離婚裁判に至るまでの流れを説明します。
1-1.まず夫婦で話し合い(離婚協議)をする
離婚するためには、まず夫婦で話し合う離婚協議を行います。
しかし、不仲になっていて、話し合いも何もできない場合もあるでしょう。そもそも相手が話し合いに応じないということもあり得ます。
1-2.家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
夫婦だけでの話し合いが上手く行かないようであれば、離婚調停を行うことになりいます。離婚調整をするには、家庭裁判所への申し立てが必要です。
離婚調停では、調停委員(男女1名ずつの場合が多い)が間に入って、妻と夫それぞれの側から話を聞いて、意見の調整を試みます。
夫婦が顔を合わせないよう別々の部屋に待機し、話し合いの際も夫婦別々に調停の部屋に入るといった配慮がなされます。
1-3.調停でもまとまらなければ、離婚裁判になる
離婚調停でも話し合いがまとまらなければ、離婚裁判(訴訟)になります。
裁判をするにあたっては、あらかじめ調停をしておかなければならず、いきなり裁判をすることはできません。
裁判になるとお金も時間も余分にかかり、精神的にも肉体的にも負担が大きくなります。
できれば、調停離婚までで話がまとまるようにするほうが良いでしょう。
2.離婚裁判になった場合の家やマンションの分け方
調停不成立で離婚訴訟にまでなると、最終的には和解を成立させるか判決を出してもらうかのどちらかになります。
2-1.和解が成立した場合
訴訟の場で話し合いで解決しようという結論に至った場合、または裁判官が話し合いで解決すべきと判断した場合、裁判官が仲介役となって話し合いをすすめ、双方が納得できる解決策が見つかったら、和解成立となります。
和解の場合は、それぞれの主張の折り合いのつくところで家を分けることになります。
2-2.和解が成立しなかった場合
和解が成立せずに判決になると、裁判所が決めたとおりに分け合うことになります。
夫婦の財産分与の割合は、基本的に2分の1ずつです。そこで、判決でも基本的には夫婦で半分ずつに分け合うことになります。
話し合い(協議離婚・調停離婚)であれば、夫婦が合意することによって2分の1以外の割合にすることも可能ですが、裁判所で判決が行われる場合(離婚訴訟)にはほとんど確実に2分の1になると考えましょう。
3.家やマンションの具体的な分け方について
具体的に、お家をどのようにして「2分の1」にするのか、さらに詳しく見てみます。
3-1.住宅ローンがない場合
まず、家のローンがないケースです。
この場合には「家の評価額」を明らかにします。評価額は家の実勢価格(市場価格)であり、不動産会社などに査定依頼をして調査します。
その評価額を基準に夫婦で家を分けます。すなわち、家をもらいたい方が名義人となり、代わりに相手に代償金として家の評価額の半額を支払います。
詳しくは「離婚の際、不動産を財産分与する方法についてわかりやすくまとめた」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
どちらかの親がローンの頭金を出したり、どちらかが独身時代の貯金から頭金を出したりしていた場合には、頭金の割合分を特有財産として、その人の取得割合を多く認めます。
詳しくは「離婚の際、頭金を入れた家を財産分与する方法についてまとめた」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
3-2.住宅ローンが残っていてアンダーローンの場合
住宅ローンが残っている場合は、売却代金でローンを完済できる「アンダーローン」か、売却代金でローンを完済できない「オーバーローン」かによって、取るべき方法が違ってきます。
アンダーローンの場合には、家の評価額が「家の査定金額-ローンの残額」とされ、その金額を、夫婦が2分の1ずつ分け合うこととなります。
たとえば、査定金額が3,000万円の家があり、残っている住宅ローンが2,500万円の場合には、家の評価額は500万円とされます。そこで、家を取得する側は、相手に対して250万円の代償金を支払うこととなります。
アンダーローンの場合であれば、夫婦が話し合いをして家を売却し、売却した代金を夫婦が2分の1ずつで分け合うことも可能です。
3-3.住宅ローンが残っていてオーバーローンの場合
一方、家の査定価格よりも残っている住宅ローンが多くなっている「オーバーローン」のケースでは問題が発生します。
この場合、裁判所は「家の価値は0」と判断することになります。裁判では、マイナスの財産分与は認められないので、「ローンを半額ずつ負担すべき」という判決にはなりません。
つまり家は財産分与の対象から外されて裁判所は一切判断をせず、そのままの状態で残されることになります。
家をどうするかについては、夫婦が話し合って決めるしかありません。もしも夫婦がいがみあっていて話し合いができない状態であれば、家もローンもそのままになってしまいます。
特に、どちらもがローンを組んでいる「連帯債務」になっている場合や、どちらかが主債務者でどちらかが「連帯保証」になっている場合では、離婚後も双方に返済義務が残ってしまうことになります。
多額の借金を抱えたままでは新しい生活を始めるにも困りますので、ローンの解決方法を話し合わなければなりません。
離婚後、夫婦のどちらも家に住みたくないのであれば「任意売却(にんいばいきゃく)」も検討するべきです。
任意売却とは、銀行など貸している側の住宅ローン債権者の了承をとって、オーバーローン物件を市場で売却する方法です。
任意売却をすれば、市場価格で不動産を売却できるので、競売より高額で売れる可能性が高いですし、売却代金でできるだけ残っている住宅ローンを返済することで、離婚後に負担するローンを減らすことが可能です。
任意売却しない場合には、このまま家を残してローン名義人が住宅ローンを払っていくしかありません。
4.家が夫婦どちらかの「特有財産」の場合
家やマンションが、夫婦どちらかの「特有財産」であるパターンもあります。
特有財産(とくゆうざいさん)とは、夫婦一方の単独財産のことです。
たとえば、夫婦のどちらかが独身時代から持っていた財産や、実家から贈与された財産、相続した財産などが特有財産となります。
特有財産は、夫婦の財産分与の対象にならないため、離婚裁判をしても、裁判所は特有財産を分けるように命令することはありません。
つまり、夫婦のどちらかが独身時代に購入した家や、実家から相続した家などは財産分与の対象にならないということです。離婚後も、権利者がそのまま家を取得することになります。
夫婦で話し合いをする必要もなく、権利者ではない配偶者は家から出て行き、それだけで家関係の手続きが終了します。
ただし、婚姻前に不動産を取得していても、婚姻中にローンの返済をしていたのであれば、婚姻中に返済した分は共有財産ということになりますので、財産分与の対象となります。
詳しくは「離婚の際、結婚前に購入した家やマンションは財産分与の対象にならない?」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
まとめ
離婚裁判(訴訟)は最終手段です。
まず夫婦で離婚協議を行い、それがうまくいかなければ家庭裁判所に申し立てて離婚調停を行い、それでもダメなら離婚裁判(訴訟)になります。
裁判になると時間も費用も余分にかかってしまいます。できれば、調停離婚までで離婚するほうが良いでしょう。
家はおそらく最大の財産ですので、それをどう分けるかは離婚する夫婦にとって切実な問題です。
高い値段で売ることができれば、意外と揉めることなく離婚が成立するかもしれません。改めてお家がどれくらいの価格で売れそうか、調べてみるのがおすすめです。
「イクラ不動産」であれば、匿名&秘密厳守でお家の相場価格を知ることができます。
地元で売却に強い不動産会社を自分で選ぶこともできるので、お気軽にお問い合わせください。
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